海の上で釣りを楽しむ喜びは大きいですが、船酔いに悩まされると釣り自体が億劫になってしまいます。
初めての船釣りでは不安も大きく、事前の対策が何より大切です。
この記事では、船酔いの原因や出航前の準備、船上でできる対策まで幅広く紹介し、安心して釣りを楽しむための最新情報をお届けします。
釣りを快適にする船酔い対策のポイント
海釣りを楽しむ上で避けて通れないのが船酔いです。
体が揺れに反応して起こる船酔いはプロの釣り師でも悩ましい症状ですが、原因を知り適切に対処すれば大幅に軽減できます。
まずは、船酔いが起こる仕組みと自分の傾向を理解し、精神面でも備えておくことが快適な釣りへの第一歩です。
船酔いが起こるしくみ
船が揺れると、内耳が感じる重力情報と目から入る視覚情報に大きなズレが生じます。
この感覚のズレが脳に混乱を招き、吐き気などの自律神経症状を引き起こすのが船酔いです。
乗り物酔いとはこのように感覚の不一致による症状なので、あらかじめ仕組みを知っておくことで対策が取りやすくなります。
船酔いしやすい人の傾向
一般的に船酔いしやすい人は、乗り物酔い全般に弱い体質の人や、長時間の移動で疲労が蓄積している人です。
船釣りで初めて船に乗る初心者や、小さな揺れにも敏感な方は特に注意しましょう。
また、心理的に不安を抱えていると酔いの症状が強く出やすい傾向があります。
反対に、船に慣れている人や気持ちに余裕のある人は比較的酔いにくいと言えます。
心の持ちようも重要
船酔いには心の持ちようも大きく影響します。自分は酔わないと前向きに考えることで、精神的にリラックスして症状を軽減する効果があります。
逆にまた酔ってしまうかもしれないと不安になると体が緊張し、症状が強く出ることもあります。
出航前にはできるだけ深呼吸などで心を落ち着け、ポジティブな気持ちで釣りに臨む心構えを持つことが大切です。
出航前にできる船酔い対策
船に乗る前から準備を整えておけば船酔いのリスクを大幅に減らすことができます。就寝時間はできるだけ十分に確保し、疲れを残さないようにしましょう。
当日の食事は揚げ物や脂肪分の多いメニューを避け、消化に良い軽めのものを選びます。
服装は海上で寒さや日差しに対応できるよう重ね着や防風・防寒対策をしておきましょう。酔い止め薬やアイテムも前日までに用意しておくのがおすすめです。
前日の十分な睡眠を確保する
前日は十分な睡眠をとって体力を回復させましょう。睡眠不足になると交感神経が優位になり、酔いやすくなるためです。
また就寝前はスマホやテレビの光を避け、リラックス効果のあるハーブティーなどで落ち着いて過ごすと良いでしょう。
消化の良い食事を心がける
前日と当日の食事は消化に良いものを心掛けましょう。揚げ物や脂っこい肉、ラーメンなどの消化の悪いものは避けます。
乗船の1~2時間前に軽めの食事をとっておくと消化が進み、酔いも起こりにくくなります。さらにアルコールは前日の二日酔いの原因となるので控えめにしましょう。
適切な服装と防寒対策
海上は風が強く気温が下がるので、陸上より1枚多く着て寒さ対策をしましょう。寒さで体が緊張すると酔いやすくなるため、着脱しやすい重ね着が基本です。
また濡れたり冷えたりすると症状が悪化しやすいので、雨具や防寒具を忘れずに準備しておきましょう。
酔い止め薬の選び方とタイミング
酔い止め薬を使用する場合は、出船の30分~1時間前を目安に服用しましょう。錠剤やチュアブル(口の中で溶ける錠剤)、貼り薬などタイプはいろいろあります。
服用後は眠気が出る場合があるので、6時間程度は運転など注意力を要する作業を避けるようにしてください。お子様には必ず子供用の薬を使い、用法用量を守るよう注意しましょう。
船釣り中に役立つ対策と対処法
船の揺れに合わせて体をゆらしながら、ゆったりとした呼吸を心掛けましょう。釣り中も視線を水平線や遠くに向ける、こまめに休むなどで負担を減らします。
不快感を感じたら早めに休むことで、釣り全体を快適に過ごせます。
水平線を見て揺れを感じにくくする
船が揺れ始めたら視線を水平線や遠くに向けることを意識しましょう。視覚情報を固定することで、揺れによるズレを感じにくくなり、酔いが軽減されます。
また深呼吸をしてリラックスするのも効果的です。もし少しでも気分が悪く感じたら、すぐに水分を補給しながら遠くを見るようにしましょう。
細かい作業は避ける
糸結びや針の準備など、手元の細かい作業は酔いを誘発しやすいので可能なら避けましょう。市販の完成仕掛けを使うか、あらかじめ準備を済ませておくのが無難です。
どうしても船上で作業する場合は、作業中に時々視線を遠くに向けて揺れを意識しないようにしましょう。
おすすめの座席・釣り座
船内で揺れが最も大きいのは船首(ミヨシ)なので、可能であればそこは避けます。船の胴の間や船尾付近は揺れが少なく比較的安定するため、酔いやすい人はこちらの席がおすすめです。
また船室の内部よりも、外の風が当たるデッキ上の方が酔いにくいので、天気が良い場合は思い切って外に出てみましょう。
症状が出たときの対処法
もし気分が悪くなってきたら、釣りを中断して一旦休むのが基本です。水平線を見て深呼吸し、常温の水を少しずつ飲んで水分補給をしましょう。
嘔吐感が高まった場合は無理に我慢せずゲロ袋を利用し、一時的に脳への刺激を減らすのも効果的です。体を横にするスペースがあれば横になるのも回復を助けます。
船酔い防止に役立つ食べ物・飲み物
食事や飲み物も船酔いの予防に役立ちます。揺れに負けない体質を作るため、出航前にポイントを押さえた食品を取り入れましょう。
以下で紹介する食べ物や飲み物は、酔いの症状を和らげる効果が期待できるものです。
生姜(ショウガ)を取り入れる
生姜には吐き気を和らげる成分が含まれており、船酔い対策に古くから用いられてきました。ショウガ茶やジンジャーエールで摂取したり、すりおろし生姜を少量持参するのが手軽です。
刺激が強すぎる場合は少なめにして、体に合う量で続けてみましょう。
清涼感のあるハーブやキャンディ
ミントやペパーミントには気分をリフレッシュし胃の不快感を軽減する効果があります。ミントキャンディーやミントティーは手軽に取り入れられるのでおすすめです。
また酸味のある梅干しやレモンを少量口にすると、自律神経が刺激されて酔いを軽減できます。
適度なエネルギー補給と水分補給
チョコレートや飴は糖分が血糖値を安定させて自律神経を整え、酔いにくくする効果が期待できます。ただしチョコレートは脂肪分が多いので、少量に留めるのが無難です。
釣りの合間に小分けの飴やバナナなどでこまめにエネルギー補給し、脱水を防ぐために常温の水やスポーツドリンクで水分補給を続けましょう。
避けるべき食べ物・飲み物
逆に揚げ物や脂肪分が多い重い食事、カフェインの強い飲料(コーヒーなど)、アルコールは避けましょう。これらは胃腸に負担をかけ、二日酔いのように症状を悪化させる恐れがあります。
特にアルコールは前日の夜から控え、空腹で乗船しないよう出航前には軽く食べておくことが大切です。
船酔い対策に効果的な薬やグッズ
船酔い対策グッズも上手に活用しましょう。酔い止め薬のほか、ツボ押しバンドやアロマ、サプリメントなど様々なアイテムが市販されています。
特徴と使い方を知って、自分に合ったものを取り入れることでさらに船酔いの不安を減らせます。
酔い止め薬の種類と服用法
一般的に市販されている酔い止め薬には、錠剤や速溶タイプのチュアブル、貼り薬があります。服用は出船前約1時間前を目安にすると効果的で、持続時間は6~8時間程度です。
子供用には味付きのチュアブル錠もありますが、眠気などの副作用が出ることもあるので、服用後は車の運転を避けて十分休養しましょう。
ツボ押しバンドやアロマグッズ
ツボ押しバンドは手首に装着するだけで、体内時計の乱れを整え酔いを和らげる効果が期待できます。特に内関(ないかん)というツボを刺激するタイプが人気です。
またペパーミントやラベンダーのアロマオイルをハンカチに垂らして持ち歩くと、気分転換に効果的です。子どもや妊婦さんでも安心して使える対策です。
持ち運びに便利なサプリ・飲料
酔い止めサプリにはショウガやビタミンB群が配合されたものがあり、事前に飲むことで胃腸の調子を整え酔いにくくなると言われています。
また、携帯用の酔い止めドリンクやゼリーが市販されているので、急な体調変化に備えてバッグに忍ばせておくと安心です。
その他の便利グッズ
その他にも、携帯カイロや簡易マットなどがあると便利です。寒さから身を守る携帯カイロ、もしものときに床で横になれるよう簡易マットを持参すると安心です。
さらに吐き気対策としてビニール袋や予備のタオル、速攻で効く胃薬(液体の胃薬など)も忘れずに準備しておきましょう。
まとめ
船酔い対策は釣りを快適に楽しむために欠かせません。出航前に十分な睡眠と消化の良い食事で体調を整え、服装は海上の気候に合わせて準備しましょう。船上では水平線を見たり適度に休んだりして体を労わり、酔い止め薬やツボバンド、ショウガやミントなどの食べ物・飲み物も活用すれば不安はぐっと減ります。事前にこれらの方法を試し、自分に合った対策を見つければ、釣りの時間をもっと楽しめるようになるでしょう。
船釣りを続けていれば体も徐々に揺れに慣れていきます。焦らず慌てず、今回紹介した基本の対策から取り入れてみてください。正しい準備と工夫で船酔いの心配を減らし、快適な釣りライフを送りましょう。


