クエは超大型の根魚で、ひとたび掛かれば根へ突っ込む強烈な走りが魅力です。
一方で仕掛け作りを誤ると一瞬で根ズレやフックアウトにつながります。
本記事ではクエ 仕掛け 作り方の要点を、船と磯の両面から専門的に解説します。
強度設計の考え方、実際の結びと組み立て手順、エサの付け方、潮や地形に応じた使い分けまで体系化。
最新情報です。
読めばそのまま現場で再現できるレベルの完全版としてお届けします。
クエの仕掛けの作り方 完全ガイド
最初に必要なタックルと各パーツの強度バランスを明確にします。
クエは初速の突っ込みと根ズレが最大の敵です。
主線の耐力、リーダーの耐摩耗性、フックサイズ、そしてオモリと捨て糸のバランスが要です。
ここを押さえることで作り方の迷いが消えます。
船と磯では必要な号数や長さが変わります。
以下の各仕掛けの作り方と結びを順に進めると、安全域の強度が出せる構成になります。
部材は必ず信頼できるメーカーの大物向けを選定しましょう。
必要なタックル一覧と適正スペック
ロッドは船なら深場大物用の200号負荷クラス、ドラグ15〜25kg対応が目安です。
磯はロッドパワーM〜Hのロックショア大物竿や泳がせ専用強磯竿が安心です。
リールは大型両軸または電動3000〜4000番クラス、実ドラグ12kg以上を推奨します。
道糸はPE8〜12号。
リーダーはフロロ80〜150lb相当を3〜8m。
根が荒いなら100〜200lbに上げ、先端50〜80cmだけ200lbを継ぎ足すショックリーダー二段構成も有効です。
フックは7/0〜11/0の大型サークルか太軸ストレート。
スイベルは大型溶接リング付き3/0以上、オモリは120〜400号を潮速と水深で可変です。
基本の胴突き泳がせ仕掛けの作り方
最も汎用性が高いのが一つ胴突きの泳がせです。
手順は次の通りです。
- PE本線にFGノットでフロロリーダー100〜150lbを3〜5m結束します。
- リーダー先端に大型スイベルを結びます。結びはパロマーか改良ユニ。
- スイベルから先に捨て糸5〜8号を50〜100cm取り、オモリ120〜400号を結びます。
- スイベルから別方向へハリス100〜150lbを1.5〜3m取り、7/0〜11/0フックを結びます。
ポイントは捨て糸を本体よりも弱くして根掛かり時にオモリだけを切りやすくすることです。
ハリスは長いほど食いは良いですが、潮が速い時は2m前後に詰めて絡みを抑えます。
アシストステンワイヤー20〜40lbをフック根元に数センチ入れると歯擦れ対策になります。
遊動天秤仕掛けの作り方
潮が速くライン角度が立つ時は遊動天秤が有利です。
天秤で本線とオモリを分離し、エサが自然に泳ぎます。
- 本線PEにスナップを介して大型天秤を装着します。
- 天秤の先にオモリ120〜400号を接続します。
- 本線側にスイベルを介してリーダー100〜150lbを2〜4m取り、フック7/0〜10/0を結びます。
胴突きより手返しが速く、底立ちが取りやすいのが利点です。
一方で根のキツい場所では天秤がスタックしやすいため、捨て糸式に切り替える判断が必要です。
岩礁帯向け捨てオモリ設定と根掛かり対策
根掛かり多発地帯では捨て糸の長さと号数調整が効きます。
基本は50〜80cm、5〜8号。
根が荒ければ80〜120cm、3〜5号に落として切れやすくします。
オモリは丸ではなくナス型や六角型で幾何学的に抜けやすいものを選びます。
ハリスは耐摩耗に振り、岩を舐めずに保てるタナでステイ。
仕掛け投入後、底を取ったら30〜100cmだけ切って置くことで根ズレを減らせます。
誘いの上下幅は20〜50cmに留め、無駄な上下で根に触れさせない運用が大切です。
結び方と強度の出し方 FGノットとパロマー
PEとフロロの結束はFGノットが定番です。
編み込みは20回以上、締め込み時は必ず濡らして摩擦熱を回避します。
端糸処理は焼きコブを小さく作り、外ガイドとの干渉を避けます。
フック接続はパロマーノットがシンプルで強いです。
アイに二重で通し、ハーフヒッチのように結んで均一に締め込みます。
太軸フックには改良ユニも相性良好です。
結束後は実測ドラグ値以上での引っ張りテストを毎回行いましょう。
釣法別の仕掛け選びと使い分け
同じクエでも船と磯、昼と夜、潮の速さで最適解は変わります。
ここでは状況別に仕掛けの構成を具体化します。
選び方の基準が分かれば、現場で迷わず素早く組み替えられます。
船の泳がせ釣りで強い仕掛け
水深30〜150m帯での泳がせが主流です。
潮が素直な日は胴突き1本針、速い日は遊動天秤に移行。
道糸PE10号、リーダー120〜150lb、フック9/0を基準に、潮が緩ければハリスを3m、速ければ2mに調整します。
ドラグは初期8〜10kgで底から剥がすことを優先。
根から離れたら12〜15kgへ徐々に上げます。
電動は中速落下で着底直前に減速し、糸ふけを即回収してライン角度を立てないのがコツです。
磯・堤防のブッコミと泳がせ
磯はブッコミと泳がせの二軸です。
ブッコミはオモリ20〜40号、ハリス100〜150lb、フック7/0〜10/0。
捨て糸3〜5号を50〜80cmで根掛かり回避。
泳がせは風船や大型ウキを使い、タナ5〜15mを流します。
ラインはPE8〜10号にナイロン80lb以上のショックリーダーを数メートル。
磯は擦れが致命傷になるため、先端だけ200lbの短尺リーダーを継ぎ足すと安心です。
玉網は口径70cm以上、ギャフ運用時は周囲の安全確保を徹底します。
夜釣りと日中でのリグ調整
夜は活性が上がりやすく、ハリスをやや太く短めにして手返しを優先します。
フックはサークルで飲ませ、暴発的な突っ込みでも口角に掛かる確率が上がります。
日中は見切られやすく、ハリスを細く長めにして自然に漂わせます。
集魚灯を使う船ではエサのサイズを一回り下げ、違和感を減らすとヒットが伸びます。
夜間の磯はヘッドライトの直光を水面に当てすぎないのがセオリーです。
潮速別のオモリ号数の目安
潮速と水深からオモリを見積もると、底立ちが圧倒的に楽になります。
目安を表にまとめます。
| 仕掛け | 想定水深 | 潮速目安 | オモリ号数 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|---|---|
| 胴突き1本針 | 30〜120m | 〜1.0ノット | 120〜200号 | 食いが良い | 潮が速いと角度が寝やすい |
| 遊動天秤 | 50〜150m | 0.8〜2.0ノット | 150〜300号 | 底立ちが明確 | 根で天秤がスタックしやすい |
| 磯ブッコミ | 足元〜30m | 波気あり | 20〜40号 | 根周りを攻めやすい | 根掛かり多い |
エサ選びと付け方の最新セオリー
クエは大型の生餌に強く反応しますが、活性や潮でベストは変わります。
生き餌の弱りを抑える付け方、サイズ選択、2本針の使いどころを押さえればヒットが伸びます。
活アジ活サバのサイズ選び
標準はアジ20〜30cm、サバ25〜35cmです。
小型は食わせやすい一方、底層での存在感が落ちます。
潮が緩い時は大きめでアピール、潮が速い時は抵抗を減らすため小さめが有利です。
弱りを抑えるためにストリンガーやアクアビットで活かし、投入直前にフックオンします。
鼻掛けは自然に泳ぎ、背掛けは潜りやすい。
根周りに入れたい時は尾掛けで下方向へ誘導します。
イカやサンマの切り身の使いどころ
活餌が確保できない時や夜間の波動増強に有効です。
イカは身持ちが良く、シルエットも大きい。
切り身は縫い刺しで身の繊維方向に沿って通し、回転を防ぎます。
匂いを出したい時はサンマ腹身、耐久性重視ならイカ短冊。
単体で食いが悪い場合は活餌との抱き合わせで使うと効果的です。
2本針とアシストフックの是非
大型餌ではフロントとリアの2点留めが安定します。
ただしフックが増えると根掛かりリスクが上がるため、根の荒さ次第で使い分けます。
アシストはメイン7/0〜9/0に補助5/0〜7/0の短いステンワイヤーで接続します。
飲ませ重視ならサークル1本で口角を狙い、掛け重視なら太軸ストレートの2本構成。
乗りが浅い日はアシスト有効、飲み込みが深い日はサークル1本へ戻すのがセオリーです。
バイトを増やす掛け方
鼻掛けはレンジが上がり気味で潮上へ泳ぎやすく、背掛けはレンジを下げやすいです。
底から50cm〜1mに保ちたい場合は背掛けが安定します。
エサが回転する時はフック位置を中心線上に修正し、縫い刺しで回転を止めます。
違和感を嫌う個体にはスリーブや収縮チューブで結束部を滑らかに。
接合部のコブを小さくすると食いが上がります。
実戦手順 チェックリストと作業の流れ
現場で迷わないために、準備から取り込みまでの流れを定型化します。
一連の手順を繰り返すことでバラシが減り、対応が速くなります。
事前準備と安全装備
必携はフローティングベスト、グローブ、偏光サングラス、プライヤー、カッター、ギャフまたは大型玉網です。
磯はスパイクブーツとヘルメットを追加します。
ドラグはバネ計で実測設定し、予備の結束済み仕掛けを2〜3組用意します。
エサは酸素供給できる活かしバッカンで管理。
保冷は氷海水で弱りを防ぎます。
夜間はライトの電池残量を必ず確認し、落水時の連絡体制を決めておきましょう。
現場での組み立て手順
FGノット結束→テンションチェック→スイベル接続→捨て糸とオモリ→ハリスとフックの順で組みます。
結束ごとに強度テストを入れると不意の破断を予防できます。
活餌は投入直前に刺し、針先は完全に露出。
着底後は糸ふけを取って底立ちを明確にし、仕掛けが寝ない角度を維持します。
打ち返しとタナ取りのコツ
5〜10分反応がなければ3〜5m上げて再度落とし直す小移動を繰り返します。
底から50cm〜1mを基準に、根の高さに応じて調整します。
潮が緩むタイミングでタナを下げ、速くなればタナを上げて根ズレを防ぎます。
磯は払い出しと寄せの境目、船はかけ上がりの肩を重点的に攻めます。
エサの消耗が早い時はすぐに交換し、鮮度を保つことが釣果直結です。
取り込みまでのファイト
ヒット直後はロッド角度を45度未満に保ち、ポンピングを極力抑えて巻き続けます。
まず底から剥がすのが最優先です。
剥がれたら一定のテンションで寄せ、走ったらドラグを半回転緩めていなすのが安全です。
最後の突っ込みは手前10mで多発します。
ギャフは頭側一発を基本に、網なら頭を先に入れてから体を収めます。
船はタモ入れ側へ魚の頭を向けるよう船長と連携しましょう。
よくあるトラブルと解決策
大型魚ゆえにトラブルはつきものです。
原因を切り分ければ再発防止ができます。
代表的な事象と改善策をまとめます。
根ズレ切れを防ぐ
対策は三段構えです。
一つ目はハリスの号数アップと先端短尺の200lb継ぎ足し。
二つ目はヒット直後のドラグ管理で底から即剥がすこと。
三つ目はタナを底から50cm〜1mに固定し、不要な上下をしないことです。
リーダー表面が白く毛羽立ったら即交換。
耐摩耗性の高いフロロを選ぶのも有効です。
エサが暴れて絡む
ハリスが長すぎる、またはフック位置が偏っている可能性があります。
2m以内に詰め、縫い刺しで中心線を通すと回転が止まります。
潮が速い時は泳ぎの弱い個体へ交換します。
遊動天秤に替えると仕掛け全体が安定しやすく、絡みの頻度が下がります。
サルカンは大型溶接リング付きで回転性能を上げましょう。
フックアウトと口切れ
サークルで口角を狙うと口切れが減ります。
ストレート使用時は合わせを強く入れ過ぎないこと。
ドラグ値を一定にし、ショートポンピングでテンションを維持します。
フックサイズが小さいと貫通不足になりやすいので、血抜き後に刺さりを確認し鈍っていれば交換します。
ケミカルシャープナーより交換が確実です。
電動リール設定の落とし穴
落下速度を速くし過ぎるとエサが潰れたり、着底でラインが膨らみ根掛かりの誘因になります。
中速に設定し、着底手前で減速が基本です。
巻き上げはトルク優先の低速一定を心掛けます。
ドラグは数字ではなく実測で。
釣行前に水バケツで負荷を掛け、滑り出しと粘りをチェックします。
シーズンとポイント攻略の基本
クエは通年狙えますが、サイズを狙うなら水温とベイトの条件を読みます。
地形と潮流の理解が最短距離の近道です。
水温と潮で狙いを絞る
適水温はおおむね16〜24度帯。
黒潮寄りのエリアでは潮替わり前後の時合いが濃くなります。
澄み潮はレンジを下げ、濁りはレンジを上げるのが目安です。
大潮の反転流と小潮のゆるみはチャンス。
潮止まり前後30分は打ち返し頻度を上げ、エサの鮮度で食わせます。
地形とベイトの読み方
実績が高いのはかけ上がりの肩、根と砂地の境目、沈み根の風下側です。
船は等深線の曲がる場所をトレースし、磯はサラシの払い出しを軸に探ります。
ベイト反応が底から離れている日は、ハリスを長くしてフワッと漂わせる設定が効きます。
ベイトが底ベッタリなら短くして根ズレを避けます。
風と波で仕掛けを変える
風波でラインが膨らむ日は天秤で姿勢を安定化。
磯はウキ下を短くし、ウキ自重とシンカーで風に負けないバランスにします。
うねりが強い日は無理をせず高場を避け、安全を最優先。
足場が低い時は長柄の玉網や延長ギャフで対応し、取り込み角度を作ります。
プロのワンポイント
・結束は現場光量が低くても確実にできる方法を一つに固定する。
・捨て糸は現場で即交換できるよう複数長さをプリセット。
・ヒット後5秒が勝負。底から剥がすまで巻くことだけに集中する。
まとめ
クエ仕掛けの作り方は強度バランスと現場適応が肝心です。
PE8〜12号、リーダー100〜150lb、フック7/0〜11/0を基準に、胴突きと遊動天秤を使い分ければ大半の状況をカバーできます。
捨て糸とオモリは潮速と根の荒さで柔軟に調整しましょう。
エサは活アジや活サバを鮮度良く運用し、付け方でレンジを制御します。
結束はFGとパロマーで強度を出し、毎回の引っ張りテストを習慣化。
ヒット直後は即座に底から剥がす。
この一連の流れを再現すれば、クエ攻略の再現性は高まります。
安全最優先で、圧巻の一本に出会ってください。


